2014年 03月 30日
フランケンシュタイン(NTL) |
英国ロイヤル国立劇場・・・ナショナルシアターの演劇を映画でみせるプロジェクト。
ナショナルシアターライブ
ソウルで上演中のミュージカル「フランケンシュタイン」の評判がとてもよくて気になって仕方がないのですが
諸事情で公演期間中に訪韓することができないので・・・・。
あまりに哀しいので(笑)このライブ映画を観に。
まずは3000円は高すぎじゃない?
ナショナルシアターの機構はなかなか面白い。
円形ステージで客席には花道もある。
舞台中継は、あまり好きではない。
自分では気づかなかったもの、見逃したものの発見があることは新鮮であるが
逆に見たかったものがフォーカスが外れたり、余計な演出的構図での撮影があったり。
このライブ映像も、カメラワークがころころ変わり移動が多く、
照明をアップにすることが多かったのでちょっとストレス。
もっともっと役者の表情を捉えてほしかった・・・とは思った。
・・・・とネガティブなことを書くのはここまで(笑)
字幕は最低限。
しかし、それで充分。
役者の見事な演技が、言葉を超えて圧倒的迫力で感情を伝えてくる。
これぞ、舞台の醍醐味。
いやぁ・・。すごいものを観た。
これ、叶わぬことだが、生で観たかった。
たたみます。
「フランケンシュタイン」
フランケンシュタイン博士 ベネディクト・カンバーバッチ
クリーチャー(怪物) ジョニー・リー・ミラー
異形のそれは、生まれたての赤ん坊のごとく・・・。
言葉を話すことも歩くこともできない。
まさに生まれたての胎児のごとく、ヌメヌメとした質感・・・。
体中に刻まれている傷・・・。
しかし。
「人」は生まれたときは無垢なのだと。
様々な体験から、いろいろな感情が生まれてくるのだと・・・。
出会うすべてが初めてのクリーチャー。
醜さから嫌われ、さげすまれ、排除されていく。
盲目の老人から知識を得て、どんどん成長していく。
しかし老人の家族から疎まれたことで、彼はその家に火を放ち、
自らを創造したフランケンシュタイン博士に復讐しに行く。
博士は生命の創造にとりつかれ、愛する家族や婚約者さえも遠ざける生活を送っていた。
目の前に現れたクリーチャー。
身体機能、言語能力、さらに感情まで持つ創造物に博士は歓喜する。
はたしてクリーチャーは、博士にある願いをする。
自分を疎まずに愛してくれる存在、異性のクリーチャー創造を・・・である。
再び命の創造を始める博士。神になろうとした男。
だが最後の段階で博士はその異性クリーチャーを破壊する。
絶望からクリーチャーは残酷な復讐をする。
主役のふたり、カンバーバッチとミラー。
演出家の互いにふたつの役を演じることで役への理解が深まる?とかで
共に博士とクリーチャーを演じている。
そしてふたりとも、この役で英国演劇最高峰のローレンスオリビエ賞を受賞。
純粋無垢なクリーチャーの動き。
ミラーは2歳の息子さんの動きを、カンバーバッチはリハビリに努力する人を参考にしたそうである。
冒頭からかなりの時間、生まれ出たクリーチャーが進化していく過程を見せて行く。
もう全身から悲鳴が聞こえそうだ・・・。
見ているこちらも、息ができないぐらいに。
いったいこの生命体はなんなんだ???という感じ。
降り注ぐ雨水に、草の感触に鮮烈な感動を覚え、鍋の熱さに驚き、食べ物の味を知り・・・
そして人間の非情さを知る。
最初は、うげぇ・・・と思った(その生々しい傷跡と異形の姿に)のだが
盲目の老人と知り合い、知識を得ていく姿がコミカルで愛らしい。
話の進行とともに、一見、普通に見えるカンバーバッチ@博士のほうが、
どんどん異常に・・・モンスターに見えてくることが面白い。
この2人の圧倒的な演技の応酬は本当に見事なのだが。
一番衝撃的だったのは・・・。
博士がクリーチャーに対して・・・自分の命の創造という行為に対して成功か失敗かと。
そんな博士に対して、父親が発した言葉 「失敗だった」という一言が。
(英語、それほど理解できないですし、字幕だけですし、1回しか観ていないの私の理解が不確かかもですが)
自らの息子を「失敗」と、命の創造とう神の領域に踏み込んでしまった息子を
そんな息子に育ててしまったことを失敗だったということが、衝撃的だった。
そしてクリーチャーが、初めて理解してくれた博士の婚約者に対して行った復讐が・・・。
それも人間が教えた行為と感情であることが・・・もともとクリーチャーは持っていなかった・・・・が哀しく残酷だ。
クリーチャーは博士の命を奪わない。
ふたりは先の見えない旅路に(磁力の根源である北極に向かっている)出るが。
クリーチャーが求めていたのは自分の理解者。
自分を創造した博士にこそ、理解して愛してほしかった・・・・。
ラストはそんな風に感じました。
この方。
ベネディクト・カンバーバッチさま。
写真だけではその意味がわからなかったのですが、実に魅力ある俳優だと認識いたしました。
いろいろな役の色を魅せる俳優というか。
来週は彼のクリーチャー編が上映されるのですが・・・・。
これがまた、時間が無くて観に行くことができないという・・・・(号泣)
しかし、絶対にすごいだろうことが想像できるので、今回でも満足かな・・・。
by mikan-lime
| 2014-03-30 22:37
| 映画